Vol.1 ECCO SCINAPSE

シューズはアパレルと違って、自分の足に合った正しいサイズを選ばないと快適でないばかりか、健康を損なうことも。それだけに快適性と機能性を最優先にシューズは選ぶべきです。しかしながら自分のお気に入りシューズを「そのシューズカッコいいですね!?」と他人から褒められると嬉しいように、できれば履き心地がいいだけでなくスタイリッシュな1足を選びたいところ。ECCOは快適性と洗練されたデザインを高次元で融合することにより、ワールドワイドで高い評価を得ていますが、今回からスタートするこのコラムはドレスシューズからランニングシューズまで、これまでに1000足以上の靴を履いてきたフリージャーナリストの南井正弘氏がECCOのシューズを実際に履いてその魅力を紹介。第一回は昨年末のリリース以来良好なセールスを記録しているECCO SCINAPSE(メンズ、ローカット)です。

意外と知られていないことですが、イタリアやフランスといったヨーロッパ諸国で現在のようにスニーカーがカジュアルシーンで誰もが履くようになったのはそれほど古いことではありません。私は現在の職に就くまでは1988年から1998年までスポーツシューズブランドに勤務していましたが、グローバルミーティングに出席する度にヨーロッパの担当者がいつも言っていたのは、「アメリカのように普段履きとしてスポーツシューズを履く文化がもっと根付けば…」ということ。その当時のヨーロッパではカジュアルシューズの類のシェアやドレスシューズの着用率が高く、アメリカはもちろん、日本や香港、シンガポールといったアジア諸国と比較してもランニングシューズやテニスシューズを街中で履いている人は、かなり少なかったようです。

実際に1998年のW 杯のためにフランスを訪れた際にはパリでも、日本対アルゼンチン戦の行われたトゥールーズでも、アメリカや日本と比較するとスニーカー、特に白いスニーカーを履いている人はかなり少なかったですし、パリのレストランではランニングシューズを履いているという理由で良い席に案内されなかったという経験もしました。

その後2000年にミラノを観光目的で訪れると、アメリカからスニーカー専門店のフットロッカーが進出してしばらく経過したこともあって、1998年とは状況は変わり、スニーカーを着用したローカルは増加していました。しかしながらこのときに気になったのが、同じモデルであってもイタリアではアメリカでは展開していないブラウンレザーのマテリアルバリエーションを数多くラインアップしていたこと。

このあたりはお国柄を象徴しており、「スニーカーは好きだけど、真っ白のカラーはやっぱり気恥ずかしい。でも茶色のスニーカーならスポーティなスタイリングからちょっぴりドレッシーな着こなしまで対応してくれるから本当に便利なんだよ!」と2002年にスニーカームックの取材でミラノに再び訪れた際にインタビューした何人もが同じようなコメントをしていたのが印象的でした。

あれから15年、ECCOがリリースしたECCO SCINAPSE(メンズ、ローカット)は、かつてイタリアの人々が愛したブラウンスニーカーを思い出させてくれましたが、大きな違いがひとつ。 それはかつてイタリアを始めとしたヨーロッパを席巻したブラウンカラーのスニーカーはあくまでスポーツブランドが過去の遺産を復刻したプロダクトであったのに対し、このシューズは快適な履き心地、歩き心地に定評のあるECCOが最新技術を結集してリリースしたニューモデルであるという点。

柔らかすぎず硬すぎないソールユニットは歩行時の脚力を効率よく路面に伝えてくれるから、ホントに歩きやすいし、長時間の歩行でも疲れにくい。これがフワフワした感覚のソールだと力が横方向に逃げてしまって歩く際に非効率なのです。またアッパーのヤクレザーは繊維の密度が高いので、皮革が伸びすぎることなく、その比類なきフィット感を長くキープしてくれます。

そして忘れてはならないのが、ECCO SCINAPSE(メンズ、ローカット) シューズと同様に快適性と洗練されたデザインを高次元で融合している点。今回は「ホワイトマウンテニアリング」のウール混スウェットパンツと「セントジェームズ」のウールセーターと組み合わせましたが、このシューズのカジュアル過ぎない洗練された雰囲気は、これらのトップスとボトムスにフィットしていると思います。

というわけで、履き心地がよくてカッコいい、そして高級感ある雰囲気があらゆるシチュエーションに対応してくれるこのモデルは、昨年末以来、私のヘビーローテーションアイテムになりました。

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南井 正弘 : フリージャーナリスト

1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。
「Running Style」「フイナム」「Number Do」「モノマガジン」「デジモノステーション」「SHOES MASTER」を始めとした雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆しており、ランニングギアマガジン&ランニング関連ポータルサイトの「Runners Pulse」の編集長も務める。主な著書に「スニーカースタイル」「NIKE AIR BOOK」などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間52分00秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。